第153章 夕陽
「ウォール・マリアを取り返してくれええぇえ!人類の未来を任せたぞぉおお!!」
「リヴァイ兵長!!この街を救ってくれてありがとお!!」
「全員無事に帰って来てくれよ!!でも領土は取り戻してくれぇ!!」
沢山の歓声が飛ぶ。
「………ちっ…勝手を言いやがる。」
「まぁ……あんだけ騒いだらバレるよね。」
「……どうやらあの前祝のお肉はリーブス商会から取り寄せたそうです。それで……。」
民衆にバレてしまったか、と微妙な表情の幹部を他所に、新兵たちは大声で歓声に応え始めた。
「うおおおおぉ、任せろぉぉおぉおおおお!!!」
民衆からも兵士たちからも歓声が上がり、士気が高まっていくのがわかる。私の横でナナが嬉しそうに笑った。
「調査兵団がこんなに応援されるのは珍しくないですか?」
「ああ……私が知る限りでは……初めてだ。」
民衆の歓声などあってもなくても同じだと思っていたが――――、こうも闘志を滾らせるものだとは知らなかった。
私もまた、左手を空高く上げて民衆に応える。
「うおおおおおぉお!!!」
――――日が落ち、その時が来た。作戦開始を告げる。
「ウォール・マリア最終奪還作戦―――――!!開始!!!!」
壁外に降りるリフトに乗り込む直前、俺を真っすぐに見つめるナナと視線が交わる。
ナナは心臓を捧げる敬礼をしてから、首元に光るネックレスを両手で大事そうに握り締めた。
この世界の真実を手にして必ず帰る。
そしたらまた語り明かそう。
外の世界に想いを馳せて――――キラキラと目を輝かせて笑う君が見たい。
――――必ず戻る。
今度は俺が、片翼のきみの元に。