• テキストサイズ

【進撃の巨人】片翼のきみと

第152章 可惜夜





「――――君一人を残して死んだりしない、みんな。」



「――――本当に………?」



「――――本当に。」



「――――絶対………?」



「――――あぁ、絶対だ。約束する。そして俺は――――君の側にこの先も、ずっといるよ。」



「――――うん………。」





わかっているんだ、絶対なんてないと。

何事もなく全員が無事に帰着することなんて、可能性としては0に近い。誰が死んでもおかしくない局面になる。

無論、俺も。






それでもこの刹那に、君の泣き顔を見たくない。





安らかに微笑む君を抱きたくて、饒舌に――――願望を孕んだ嘘をつく。





俺が自分勝手なのは今に始まったことじゃないだろう?

許してくれ。

束の間の幸せな時間を享受するために………やがて来る残酷な未来を君に見せないように、ヴェールをかける俺を。










「――――ナナ。行こうな、いつか。外の世界に。」









「うん……約束……。」











お互いの体温を感じながら微睡むその時に、微かに小指を絡めた小さな約束を交わす。





ナナは安心したように眠った。





そんなナナを抱いて、俺も眠りにつく。












柄にもなく―――――、もしこのまま永遠に目が覚めなくても幸せかもしれないと、馬鹿げた妄想をしながら。








/ 3820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp