第151章 無二
「――――それに、万が一俺に何かあっても―――――……。」
お前には言わないが、お前がナナの側にいてくれるから果たせるけじめだ。
心から感謝する。
――――ナナを泣かせないことを一番に考えるお前にとっては―――――、俺の行動は許せないかもしれないがな。
……だがそんな悲観的なことばかり考えているわけじゃない。もちろん、今回の作戦は必ず成功させる。ウォール・マリアを奪還し、人類の反撃の狼煙にする。
外の世界の秘密を解き明かして―――――、リヴァイが言ったとおり、外からの更なる攻撃に備えなければ。――――だがもし外の世界の人類と話し合いのテーブルにつくことができるなら、平和的に解決する方法を探そう。
そうすれば、ナナと異国の地を見に行く夢を――――初めて叶えられる。
そしていつか、母さんにも見せてやりたい。
父さんが描いた外の世界を、その目で。
――――それにさっきの俺の問に対して、一瞬だがリヴァイは僅かに瞳を揺らして動揺した。
あの表情は、ナナをその腕に抱くことをまだ―――――完全に諦めてなどいない顔だ。
「――――ナナは厄介な女だからな。最期まで共に手を焼こうじゃないか、リヴァイ。」
ふ、と笑いが零れる。
まったく俺のお姫様は最強だ。
兵団を指揮する俺の心を意のままにしながら、人類最強のナイトまで押さえている。
――――なぁナナ。リヴァイ。
君たちはそれぞれが俺の、唯一無二だ。