第151章 無二
「キース・シャーディス教官に会いに行く?」
「……はい。重要な話が聞けるかもしれません。」
エレンが外出の許可を得るためにエルヴィン団長を尋ねた。
過去の記憶の中で重要だと思える人物を見た、それが……南方駐屯訓練兵団にいたころの教官だと言う。
「……いいだろう、何かの手がかりになる可能性があるのなら訪ねるといい。ただし、リヴァイとハンジも同行させる。」
「はい。」
「あ、あのっ……。」
思わず私も声を上げてしまった。
「なんだ?ナナ。」
「私も、行ってはいけませんか。」
「君が?」
「はい。」
エルヴィン団長は少し考えるように目線を横に一瞬逃がして、了承してくれた。
「………いいだろう。私の代わりに、何か情報を掴んできてくれ。」
「……はい!」
エルヴィン団長の考えは手に取るようにわかるようになってきた。
エレンの記憶の中にシャーディス教官がいる、ということは……おそらくエレンの幼少期の記憶。だとしたら――――シャーディス教官と繋がりがあったのは、エレンの父。
グリシャ・イェーガーの可能性が高い。
グリシャ・イェーガーがおそらく外の世界と何らかの関わりがあると私たちは睨んでいる。エルヴィン団長の代わりに情報を掴んで来い、というのはそういうことだ。
そして……少し悩んだのは私の体調のこと。
エレンがいるから、言わなかった。でもハンジさんとリヴァイ兵士長が共に行くのなら任せて大丈夫だと判断したのだろう。