第150章 恵愛 ※
「――――……だが、ナナ………。」
「………したいよ………。お願い、お願い……エルヴィン、ぎゅってして。溶かして。あなたの熱で、香りで――――死ぬまで、愛して………。」
ナナがまたぽろ、と羞恥によるものか、涙を零して俺に訴える。
普段何事もなく振る舞っている彼女の心の内の恐怖や焦燥、欲望、色んなモノが混ざりに混ざって――――耐えられなくなったのか。
それとも。
ただの、俺が淫らに躾けたその成果か。
僅かに引き上がりそうな口元をなんとか隠して、 “君が乞うなら仕方ない” という体裁を守る。
――――本当はずっとずっとずっと―――――君を死ぬほど、抱きたかった。
片手ではうまく脱がせられないから、脱いでごらんと言うと、驚くほど素直にワンピースを脱いで、それはすとん、と床に落ちた。
――――あぁまるで、初めて君を抱いたあの日みたいだ。
「――――とても綺麗だ、おいで。」
真っ白な下着と神聖なヴェールだけを纏って、ベッドに腰かける俺の方へナナが歩み寄る。
きし、とベッドを軋ませ、俺の膝に跨った。
「――――その綺麗な胸を見せて。」
ナナはまるで操られているかのように、荒い呼吸をしながら言われた通りに下着をずりさげ、すでに快感を期待して勃ちあがる薄桃色の乳首を露わにした。
先を転がすように舌を這わせると、声にならず息を弾ませて腰が反る。
誰の所有印も刻まれていない身体は、まるで聖女だ。
乱れたヴェールをまた、彼女の髪から胸にかけて包むようにあしらうとなお一層神聖さを増す。
そして―――――そんな神聖な彼女を自らの欲のままに従えていることに、また興奮する。