第147章 同憂
「……抱き枕にされてる、だけです……。」
「いや絶対それだけじゃ済んでないでしょ。」
「……っ………。」
「体に負担はないの?」
「それが不思議と、全然ないんです。」
「――――ナナの身体に痣もキスマークも一つもないから……エルヴィンはすごくナナの身体を気遣ってんだろうね。もし酷いことしてたら殴ってやろうと思ったけど……ふふ、安心した。」
「――――そう言えば、そうですね……。」
自分の体を見てようやく気付いた。
今までは常にどこかにエルヴィンの所有印みたいな痕が刻まれていて……だからお風呂も誰もいなくなってから入る習慣がついていたんだけど。
「――――独占欲の塊のようなあの人がしてる我慢、褒めてあげてよ。」
「………ふふ、はい……!」
やっぱりハンジさんはエルヴィンのことをよく分かっていて……見透かされ過ぎて恥ずかしいところはあるけれど、そんな彼女が見守ってくれていることが心強い。
「――――調子が良いなら、頼みたい。ナナ。」
「はい?」
「明日からのエレンの実験、良かったら一緒に来てくれる?短時間でも構わないから。」
「……っ、はい!喜んで!!」
「―――頼むよ。」
湯けむりが立ち込める中でするハンジさんとの雑談は、もちろん不安や恐れるべきこの先の未来の話も含まれてはいるけれど、結局はどれも能天気に楽しく書き換えられていって――――
私は身も心も垢を落とせたような、そんな感覚に満足しながら……エルヴィンの側で、眠りについた。