第13章 戦友
怖くない、と言えば嘘だ。現に、馬に跨った今も震えが止まらない。死ぬ、かもしれない。
でも、私はなんとしてもこの壁外調査で活躍しなきゃいけない。出世を狙う、なんてガラじゃないけど、お金が必要なんだ。
母と、父のために。
震える膝を押さえながら、ふと門の方に目をやると、ナナと目が合った。ナナは心配そうに、ただ私を見つめている。彼女は必死に訓練をしてきたけれど、やはり入隊数か月で壁外へ出られるはずもなく、今回は私たちを待つことになったようだ。
「ナナ………。」
ナナは昨夜、私を真っすぐに見つめて言った。
「生きて帰って。どんな怪我をしていても、帰ってさえ来てくれたら、私が絶対に治してみせる。待ってる。あなたは、初めての友達…戦友。大好き、アルル。」
私たちは、お互いの不安を取り除こうと固く抱き合った。そのあと、ナナは眠れなかった私に子守歌を歌ってくれた。聞いたこともない言語だったけれど、それはとても心地よく、久しぶりによく眠れた。
そのおかげで、今身体の調子はすこぶる良い。
前列に見えるのは、もう一人の戦友、リンファさんの凛々しい後ろ姿だ。
私のようにみっともなく震えることもなく、ただ前を見つめている。