第12章 壁外調査
「リヴァイ……兵士長……。」
「着ろ。冷える。」
肩にかけられたのは、リヴァイさんの上着だった。
私はぺこりと頭を下げて、その袖に腕を通した。
「眠れなくて………。」
「そうか。」
リヴァイさんと、執務以外の話をするのは久しぶりで緊張してしまう。
「壁外調査、もうすぐ……ですね。」
「ああ。」
「怖く、ないですか。」
私の問いに、リヴァイ兵士長は少し間をあけて答えた。
「怖くはない。ただ俺のやるべきことをやるだけだからな。」
「……私は、怖いです。」
「………………。」
「大事な人が、死ぬかもしれないのは、怖いです………。」
「何もしなければ、このまま人間同士の殺し合いで死ぬだけだ。」
「そう、ですけど………。」
その沈黙が、夜風をより冷たく感じさせる。
「死んで欲しくない奴には、そう言葉で伝えろ。後悔しないように。」
「………はい。」