第132章 仲合
エレンの力量を測る実験は万全の警戒態勢の中で実施する。
毎度山奥で場所を変えながら――――それでも、厄介なことに巨人化するたびにあの蒸気が発生する。それは狼煙のように空に舞い上がり、恐らく―――――俺達を狙う奴らにも、少なからず情報を与えちまってるに違いない。
これまでの情報を繋ぎ合わせて、調べる内容は主に巨人化していられる時間や知性を保てる時間、細かな作業など周りからの指示を受けてどの程度動けるのか。
そして最たるものは――――鎧や女型が使いこなしていた、硬質化ができるかどうかという点だ。
丸一日、数回巨人化を試みてみたものの―――――硬質化は一度も成功しなかった。
それどころか、巨人化している時間が長くなればなるほど意識の混濁と、巨人の身体との癒着が強くなり、更に巨人化は回数を追うごとに不完全な個体へと変化していった。
巨人化の力にも限界があるらしい。
実験後、エレンは丸一日目を覚まさなかった。
ようやく次の日に目覚めたかと思えば、うじうじと自分の不甲斐なさに落ち込むような事を言いやがる。
できねぇもんはできねぇと、受け入れて次の手を打つしかねぇだろう。
落ち込むエレンに言葉をかけながら、ハンジが今後の展開を指す。
「――――さて、硬質化できないってことが分かった今、進むべき道は決まった。ウォール教とその周辺の追及だ。――――ニックの言葉から、彼ら硬質化した巨人で作られた壁の起源を何か知っているらしいからね。あの壁の作り方を知っていれば、硬質化の情報も持っているかもしれないし―――――、また……その謎を知る事ができるのがなぜ王様でなくレイス家なのか……きっと王都に行ったエルヴィンが何かを掴んで来るはずだ。」