第124章 白日
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エルヴィン団長を先頭に、私たちは壁上を駆けた。
先遣隊はちょうどトロスト区とクロルバ区の中間くらいだと言っていた。2~3時間、ってところか……。
一刻も早く着かなければ。
連れ去られたエレンを取り戻すためにも、あまりに時間が経ってからでは遅い。無言で馬を駆りながら―――――ようやく、それらしき人影が集まる場所が見えてきた。
「――――エルヴィン団長!!ミカサやアルミン達がいます……!」
「ああ。」
ようやくたどり着いたその場所で、エルヴィン団長は憲兵に即座に壁外へ馬や物資を降ろすためのリフトの設営を命じた。
私は馬を降りて、負傷した兵士の元へ駆け寄った。
その光景を目にして、心臓が引きつるようだった。
「―――――ハンジ、さん……?」
傷だらけで横たわるハンジさんやモブリットさん。
その他のベテラン兵士達がこぞって負傷している。
特に―――――ハンジさんは、目を閉じたまま、動かない。
絶望が迫りくるような、血が冷え切る感触。
全身に鳥肌が立った。
すぐに駆けつけて容体を確認しないといけないのに、足がすくんだ。――――と、その時。
「――――エルヴィン……?」
ハンジさんが、目を開けた。
「!!!」
そして彼女はすぐに体を起こして、力を振り絞るようにして地図を指した。
慌ててハンジさんに駆け寄って、その身体を支える。
「ここに……小規模だが巨大樹の森がある……。そこを目指すべきだ。まぁ……鎧の巨人の足跡は隠しようがないと思うけど……多分……彼らはここに向かいたいだろう。」
「なぜだ?」
「――――賭けだけど……巨人化の力があっても壁外じゃ他の巨人の脅威に晒されるようだし……あれだけ戦った後だからエレンほどじゃなくても消耗してるはずだよ。アニも寝込んで立って言うしね。」