第124章 白日
――――全てが終わった時、そこには手足を食いちぎられたユミルが横たわっていた。
鎧でも超大型でもなかった。
また別の巨人になれる奴が、同期の中にいた。
どうなってんだ一体……。
そしてハンジさんとナナが怪しいと睨んでいたというライナーとベルトルトは……どうなんだ。
「――――とにかく壁の上に避難しよう。ユミルやライナーも、手当しないといけない。ユミルに関しては――――トロスト区の病院に運んだ方がいいね。」
ハンジさんの指揮により、ウトガルド城跡からほど近い壁の上に引き上げた。壁の穴の位置を把握して、修復するのが俺の仕事だ。
「――――なぁみんな。結局……壁の穴の場所はわかったのか?」
俺が問うと、全員がそういえば、と不吉な事を思い出したという顔で俺を見た。
「それが………壁に穴は……見つからなかった………。」
クリスタが俯いて呟いた。
「なんだって……?」
「いやでも!夜だったし……!暗がりだったし、見落とした可能性も……!」
コニーがその不吉な事を払拭でもしたいのか、身振り手振りで見落とした可能性を主張した。その時ちょうど壁の下に、見慣れた顔が―――――
「ハンネスさん!!!」
ハンネスさんは駐屯兵団の先遣隊として穴の位置を確認していたらしい。他の兵士達に“隊長”と呼ばれていて驚いた。
酒を飲んでるだけかと思ってたのに……ちゃんと仕事をしている。
「――――穴が、どこにもない。」
「え……?」
その報告に驚いた。
けど――――クリスタやコニーもそう言っていた。まず間違いないだろう。壁に穴がないなら……巨人は一体どうやって出現したって言うんだ……?
「う~ん……壁に穴が無いなら仕方ない。一旦トロスト区で待機しよう。―――――ユミルに一刻も早く回復してもらって………話を聞かなきゃなんない……。」
ハンジさんが珍しく眉間に皺を寄せて考えている。
皆がトロスト区に引き上げる準備をし始めた中、ライナーが俺に話しかけてきた。