第124章 白日
ウトガルド城跡に着いた時、妙な光景だった。
混戦は混戦だったけど――――、一匹の奇行種のような巨人が、その他の巨人を排除しようとしていた。まるで塔の上の――――俺の同期達を守るみたいに。
「――――おい、おいおいあれ……っ……!」
「塔が――――崩れる!!」
がらがらと大きな音と砂埃を舞い上がらせながら塔は崩壊した。辛うじてその一匹の奇行種だけが瓦礫の上で無事のようだ。
塔の崩壊に他の巨人は巻き込まれたのか?
でも――――ダメージは与えられても、結局巨人は項を破壊しない限り死なない。馬を走らせ距離を詰めながら観察すると、やはり瓦礫の下から這い出た巨人共が一斉に奇行種に襲い掛かった。
「――――ユミル!!!」
確かにクリスタがその名を呼んだ。
まさかと思うが―――――あの奇行種は、ユミルなのか……?その時、隣にいたハンジさんが驚いた表情のまま、なにかを思い出すような言葉を呟いた。
「―――――まさか………あれは…っ………!」
どうしたんだろう。
とにかく奴が普通の巨人じゃないということは理解できた。
「――――私が行く。」
一言残して、誰よりも速くミカサが行った。
ユミルと呼んだ巨人に駆け寄ったクリスタを捕食しようと手を伸ばした巨人の項を、ミカサが無駄のない動きで削ぎ切った。
「くそ、俺だって……!」
「あっ……ちょっとエレン!あんたは攻撃しなくていいから!!」
ハンジさんの声が聞こえたけど、もう遅い。
削ぎたいんだよ俺は。
巨人をぶっ殺すためにここまで訓練してきたんだ。
俺に背を向けていた8m級の巨人の項を背後から―――――削いだ。
「やった!!!討伐数1!!!」
――――が、着地のことまで考えていなかった。瓦礫の中に突っ込んで、ケイジさんにどやされる。
「バカ野郎!!下がってろって言ってんだろエレン!!」
「は、はい……すみません……。」