第113章 奏功
公私混同をしない主義の彼女が、補佐官としてではなくナナとしてほんの少し甘えている。
褒めて、と言っているんだな。
まったく、可愛い。
この忙殺されそうな毎日でも、君の仕草一つでその心のこりが少しほぐれるようだ。
「――――ああそうか。」
ナナが求めていることを察する。
はは、と笑って、右手を彼女に向けて差し出すと、その手に惹きつけられるようにナナが一歩私に寄る。ナナの頭をぽんぽんと撫でると、目を閉じてそのご褒美を享受するようにすり寄ってくる。
「――――よくやってくれた。大変だっただろう?頑張ったな。――――ありがとうナナ。」
「お役に立てて、嬉しいです。」
不機嫌に顰められていた眉はすっかりハノ字に下がって、ふわりと笑う。
大人げなく何度も君に恋をしていることを知られたらまた君は俺をからかうだろうから、この焦がれる胸の内は秘めておこう。
仲間の屍を量産しながらこの残酷で非情な道を歩けるのは――――、君という光が側にいてくれるからだ。