第108章 対策
翌日。
朝から駐屯兵団の兵舎に赴き、トロスト区内で任務に当たった兵士達と共に今回起きた事実の聴取と整理が行われた。
私ももちろんほぼ一部始終を目撃していたため、メモを頼りに情報を提供し、おおよそ今回の出来事をエルヴィン団長もリヴァイ兵士長も、その他兵団の面々も知るところになった。
エレンに会いたかったけれどもちろん許されるはずもなく―――――どこに幽閉されているかすら、私は知ることもできなかった。
トロスト区内に残った巨人の掃討は、明日行われる。
駐屯兵団が壁上固定砲を駆使して、それでも全てが固定砲のみで討伐できるはずもない。調査兵団からも討伐のための精鋭を派遣することになった。
また、エルヴィン団長が提案した、今回の壁外調査の目的の一つでもあった“巨人の捕獲”に関してもこのトロスト区内の巨人を数体生け捕りにし、研究することを兵団トップは了承した。
数時間に及ぶ会議が終わり、ようやく解放された私たちは各々の今後の動きについて握り合った。
「――――ハンジを中心に精鋭を呼べばいいんだろう。伝達は俺が行こう。」
リヴァイ兵士長がエルヴィン団長に目くばせをした。
「ああ、頼む。掃討作戦における調査兵団の指揮はリヴァイ、お前に任せる。巨人の捕獲についてはハンジに任せると伝えろ。ミケには私の不在中の調査兵団の指揮を命じる。」
「了解だ。伝えよう。」
「ナナはロイが到着したらピクシス司令の管理のもと、疫病の蔓延防止のための指揮を執れ。実行は明日の掃討作戦が終わってから―――――明後日になるな。私は引き続き審議・会議・報告続きだ。各々の役割を全うしろ。」
「はい。」
「――――実に頼もしい。では、頼んだ。」
エルヴィン団長の小さな笑みとその言葉は私を勇気づけてくれる。私たちはそれぞれの役割を全うすべく、離散した。