第98章 帰巣 ※
春。
その壁外調査は順調だった。
ルートは昨年夏の壁外調査で指摘した個所の、森への干渉をさけるルートに練り直した。
大きな被害なく遂行できることが判明したが、その道中で昨年夏に消えた索敵の一班の抗った証が散乱している場所を見つけた。破壊された立体機動装置や、血に塗れた自由の翼。
「34回目の腕章……。」
ハンジが草むらの中に、大部分を食いちぎられて白骨化した遺体を見つけた。
「1年前に死んだ兵士だ。名前は――――――イルゼ・ラングナー。」
「――――………。」
イルゼ。
ここに、いたのか。助けてやれなくて、こんなになるまで来てやれなくて、悪かったな。
そう心の中で呟いて遺体から目を逸らすと、少し離れた草むらの中に一冊のメモを見つけた。
「ジャケットだけ回収しようか。長くとどまるのは危険だし―――――…ん?どうした、リヴァイ。」
メモをパラパラと開いて、その内容に驚いた。
「これは―――――イルゼ・ラングナーの戦果だ。」
「え……?」