第93章 交流
「――――いやぁ、勿体ねぇなぁ。」
「………なにが?」
いつものように、この男がリヴァイ兵長と密談したあと―――――、その情報を私も手に入れる。
お金なんて払わない。
それよりももっと男が思い通りに動く餌を使って。
「お前可愛いのにな。」
「――――は?」
「なんでそんな安売りするんだ?勿体ねぇ。」
その男はチャラチャラした見た目で、いかにも育ちも悪そうだ。
私はこんな男に興味はない。
ただ情報を得る為だけに身体を開く、それだけ。
「――――これしか、武器がないから。」
「そうか?」
「――――なによ。」
「惚れた男を手に入れるためになりふり構わない一生懸命さも、その度胸も、お前の武器だろ。」
「―――――………。」
くだらない。なによその口説き文句。
口説く時はもっと―――――綺麗だとか、身体の具合が良いとか、エロいだとか、そういう言葉でおだててくるもんでしょ。
「――――まぁ、俺が口を出す事ではねぇけど……、何度も身体を重ねると情も沸く。親切心で言っといてやる。――――ナナには、手を出さないほうが懸命だ。あの女は――――厄介だぞ。提供してやった情報でも、やべぇことは解ってんだろ。お前みたいな純粋な女じゃ太刀打ちできねぇよ。」
「私が―――――純粋?」
私は鼻で笑った。
純粋というなら、あの女の方が似合ってる。
こんな私みたいに、誰かれ構わず身体を開いたりせず、愛し愛された男と、愛のあるセックスしか知らないみたいな顔をしてる。
「バカにしてんの?」
「――――してねぇよ。ま、意味がわからないなら仕方ねぇ。一応忠告はしたぞ?」
「………ふん………。」
そう言ってジルは手をヒラヒラと軽く振って、去って行った。