第89章 溺愛 ※
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ナナがとても―――――乱れている。
本当に参った。
生理中ならと他愛もない話をするだけで収めようと思ったのに、不意打ちであまりに可愛いことを言うものだから、ついつい手が出てしまった。
俺はこのまま我慢できるのか……?
少し不安になってきた……。
目を潤ませて俺の腕の中で息を荒げて『だめ』と鳴くナナは、俺の強固だったはずの理性を簡単に吹き飛ばす。
「そんなに気持ちいいのか?……可愛い……胸だけでそんなに乱れて。」
「エル……ヴィン……、だめ、辛い………。」
ナナは俯いてふるふると力なく頭を横に振る。
「―――嫌だったか?」
「違うの………気持ちよくて……これ以上、できないのが……もう、辛い………っ……!」
欲に抗えずに快楽を求めるその表情とその言葉の破壊力にゾクゾクする。
「―――――これ以上とは何かな。」
「………っ………。」
「ナナは何が出来なくて辛い?何を望む?教えてくれ、ちゃんと言葉で。」
はぁはぁと息を切らして、ナナは一度ごくん、と喉を鳴らした。
「エルヴィンの――――を、挿れて……、奥まで、突いて………もらえないのが、辛いの……。身体の奥まで、エルヴィンで、満たされたい……っ…。」
「―――――はは……本当に――――――いい色に染まってきたな、ナナ―――――……。」
俺はまんまと嵌った。
この美しくて淫らで――――、他に愛している男がいながらも俺のことも真っすぐに愛していると言える、聖女のような姿をした悪女に。
「――――リヴァイにも見せた顔か?この淫らで美しい――――最高にエロい顔は。」
「――――………。」
いつもこの意地の悪い事を言うとナナは黙ってしまうが、今日は聞き出したい。
何を思っているのか。