• テキストサイズ

【進撃の巨人】片翼のきみと

第86章 遺志




明らかにいつもの巨人とは違う、表情・仕草、そして何より―――――言葉を以って意志が通じる。

とにかく試して、その結果を残す。

私は色んな問を投げかけた。

存在や所在、目的を問うても、苦しそうにうめくだけでそれ以上の言葉を発しない。



私は大義名分でも期待していたのだろうか。

目の前で仲間が食われたのには、相応の意味があって欲しかった。

その思いが爆発し、それを叫ぶ。







「なぜ私たちを食う?!食わなくても死なないだろう!!!お前らは―――――無意味で無価値な肉塊だ!!!!」







途端に大人しかった巨人が、なにかとせめぎ合うように自身の顔面に爪を立て、指を食い込ませ、その肌を引きちぎりそうな勢いで気味悪くうめく。







「この世から――――消え失せろ!!!!」







その言葉を私が発した瞬間、巨人の様相が変わった。

ぞくりと背筋が凍り、なんとかその場を後に逃げる事を試みて全力で走る。



その巨人の目がぎょろっと私を捕らえた、その目は―――――今まで見た巨人と同じ、ただ捕食対象を食うことしか考えていない目だった。



簡単に私の身体は掴まれ、身動きが取れない。





胸ポケットから、今の出来事を全て記したメモが零れ落ちた。




ゆっくりと落ちながらパラパラとめくれるページの向こうに、彼らを、彼を想う。









「――――みんなに、届いて………――――兵長に、私の――――――生きた、意味――――――。」








/ 3820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp