第84章 奞
「おはようございます、ハンジさん!ミケさん!」
私が大きな声で2人を呼ぶと、ものすごく驚いた顔で振り返って、息苦しいくらいにぎゅむぎゅむと抱きしめてくれた。
「ナナ~~~~~!!本当に良かった、良かった!!!またナナの声が聞けて……!」
「ああ、良かったなナナ。」
「ハンジさん、左手、痛いです!!」
「あっごめん!」
ようやく兵服に着替え、みんなと同じ食堂でご飯を食べたり、同じように訓練や執務に戻る事ができるようになった。
壁外調査から一か月。
でも、もう明日にはここを発ってしまうんだけど。
今日この日は、みんなとたくさん話をしたい。
サッシュさんやエミリー、ナナバさんやオルオ、ペトラやエルドさん、グンタ……たくさんの仲間が集まってくれて、オルオなんて泣いちゃってて、久しぶりに賑やかな朝食をとった。
――――いつも隣に座るリンファの姿をつい探してしまうけど、涙は見せない。
前を向くと、決めたから。
そしてそのためにも―――――ちゃんと話さなければならない人がいる。
少しだけ早く朝食を切り上げて、訓練場へ向かった。