第73章 夜這 ※
「―――――ん、ふ……っ……!」
ナナが天を仰ぐように顎を反らせて、身体を沈めた。
熱を宿して蠢くナナの中に、飲み込まれていく。
ゆっくりと腰を上下させながら、咥えた布を噛みしめて声を殺す姿が驚くほど煽情的で――――ナナの中で、自分の固さが増すのが分かった。
ナナの緩やかな動きに満足できず、その腰を両手で掴んで突き上げる。
「んっ、ふ、っ……んんっ……!」
上体を起こして向き合う体制になると、上気した頬と、もうすでに少しぼんやりとしているのであろう、蕩けた上目遣いで俺を見上げるナナがたまらなく可愛い。
―――ほら、この時だけは―――――、俺に善がっている今は―――――あいつのことなんて、頭にないだろう?
だから俺は君とのセックスに溺れるんだ。
君を独り占めしている気になれる、この瞬間に。
「―――ナナ、やっぱり脱いでしまおうか。肌を全て合わせよう。」
お互い生まれたままの姿で向き合って抱き合うと、冷たく柔く、サラリとしたナナの肌と熱く絡みついて湿潤なナナの中の双方の対比がまたこの行為へ没頭させる。
俺の首にしがみつくように腕を回し、下から突き上げられつつも声を噛み殺すナナから漏れる息の音が俺を興奮させて、たまらずベッドに押し倒しそのまま攻め立てる。
ナナはシーツを握りしめて必死に声を出すことに耐えながらも時折俺に目線を向けて『大丈夫』とでも言わんばかりに微笑んだ。