第7章 調査兵団
食事を終え、リヴァイ兵士長やハンジさんと別れて自室に戻る。最初に踏み入れた自室には、誰の姿もなかったが、そこにはルームメイトの二人がいた。
「あっ、あのっ………!」
「あ~、さっきの子だー!!同室だったんだね!」
私が話し出す前に、ショートヘアで栗毛の人懐こい笑顔の女の子が私の方へ笑顔を向けた。
「わたし、アルル・ザガート。宜しくね!」
「ナナ・エイルです。よろしくお願いします。」
頭を下げる私を、品定めするように一瞥し、ため息をつくもう一人の女の子。長い黒髪が美しく、涼し気な目元は私に嫌悪を抱いていた。
「リンファさん!もうちょっと愛想よくできないんですかぁ。」
「……うるさいアルル。……同室なんて信じらんない。迷惑かけられるの、目に見えてるじゃん。」
あ、この声。
『訓練もしてない子ってこと?ありえない、何が出来るの?』
あの時、一番に聞こえた声と同じだった。私はめげずに、リンファと呼ばれたその女の子に声をかけた。
「リンファさん。今日からお世話になります。ナナ・エイルです。仰る通り、ご迷惑をかけることも多いかもしれません。その時は、ぜひご指導いただきたく思います。どうぞ宜しくお願いします。」
丁寧に挨拶をしたのだが、それが気に障ったのか、彼女はますます不機嫌な顔になった。
「はっ、頭いいお嬢様は違うね、さすが巨人のうなじを削ぐなんて汚れ仕事はせず、人を救うお綺麗な仕事ばっかりやってるだけあるね。」
「………綺麗な仕事……ですか。」