第1章 花の寿命は短いもの
日本人の平均寿命は、男が約81歳、女が約87歳。
いずれも80歳以上。
私の現在の年齢は19歳。
平均寿命からすると、私は人生の四分の一を生きた事になる。
丁度、花盛りに入った頃と言えよう。
私の名前は藤崎由紀。
今月には高校を卒業し、来月から晴れて大学生だ。
念願のキャンパスライフ。
色んなサークルを見て回りたいし、かっこいい彼氏もほしい。
バイトしてお金貯めて、友達と渋谷でブランドショップを回るのも面白そう。
毎日、毎日、夢は膨らむばかり。
苦しかった受験からやっと解放されていい気分。
当分はあの苦しみを味わいたくはない。
私はヘッドホンから流れる音楽に耳を傾ける。
スマホで歌詞をチェックするのも忘れない。
新曲を覚えるには、やっぱ歌詞見ながらじゃなきゃ中々覚えられない。
歩きながらのスマホは、マナー違反ってされてるけど、偶にはいいよね。
「〜…!〜…!」
ふと、誰かに呼ばれた気がして前方を見ると、知らないおばちゃんが私の後ろを指さし叫んでいる。
何だろう?
不思議に思って立ち止まり、ヘッドホンを外しながら振り返ると、すぐ目の前に車が…。
いや、これはトラックだ。
ドオン!!!
凄い衝撃が体にかかり、景色がひっくり返った。
だが、それもほんの一瞬だった。
ガン!!!
またもや全身が何かに殴打され、あり得ない程の激痛が走る。
何?何が起きたの?
キイィィィン…!
凄い耳鳴りが頭いっぱいに響き渡り、私は状況を把握する事も出来ずに意識を失った。