第3章 第一話 11年前の出来事
三日三晩。
王国に仕える、兵士、従者、大臣、執事、料理人…全ての者がアンナお嬢様を探した。
だが、見つかることはなかった。
皆勘づいていた。
アンナお嬢様が城内にいないということを。
それは、国王もお妃もわかっていた。
そして、従者レノも。
城内がおかしいと思っているのは、兄グレイも
だった。
グ「お父様、どうかなされたのですか?」
ロ「いや、隣国の者が来るから皆緊張しているのだよ。」
だが、ロバート国王はその事をグレイには話さなかった
グ「それならいいのですが…最近、アンナを見かけませんが…アンナはどこに?」
ロバート国王は少し困った顔つきをした
ロ「グレイ…お前が跡取りになる可能性は高い。しかと肝に命じておきなさい。」
ロバート国王はグレイの質問に答えなかった。
否、答えれなかった。
もう、杏奈が失踪して、一週間
グレイも勘づいているのは国王も分かっていた。
国民はまだ分からないだろう。だからこそ、怖かった。アンナが遠くに売り飛ばされてないか、どこかのごろつきに殺されてないか。
事を大きくできないため、一日三回しか城外へ兵士を送れなかった。
皆の会話が減った。
皆の笑顔が減った。
皆の言葉が減った。
皆の希望が減った。
アンナがいなくなることで、城内の全ての者に悪影響をおよぼした。それほど、大きな存在だった。