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あなたに捧げる【鬼滅の刃/短編集】

第2章 優しいその手ー風柱・不死川実弥


私は不死川さんの弱点が分かったところで、半強制的に不死川さんを甘味処へ連行した。

「あのっ、お団子3つ下さい!!えと…不死川さん何になさいますか?」
「俺は…要らねェ」

私は知っていた。
甘味処のメニューを見たときに、不死川さんの目線の先に何があったのかを。

「そうですか。…じゃあ、あとおはぎを3つ下さい!」
「はいよ嬢ちゃん!」

不死川さんが少し汗をかいた。
自分の好物がなんで分かったのか、少なからず恐怖心を抱いたのかもしれない。
数時間前とは立場が逆転していた。
柱になったばかりで、不死川さんには申し訳ないけれど…とても分かりやすい反応をするから。

「おィ…」
「ど、どうなさったんですか?」
「胸のボタン閉めろォ。」
「あっ、すみません…これ…閉まらないんです…」
「…悪ィっ!」

不死川さんの顔が、かあっと赤くなった。
恥ずかしかったのか、赤くなった顔を見られたくないのか、さっと向こうを向いてしまった。

「お嬢ちゃんお待ち遠っ!お団子とおはぎ3つずつ!」
「わぁ…美味しそうっ!ありがとうございます!」

私はお団子を1つパクっと口に入れた。

「んん~っ!美味しいっ!!」
「…」

不死川さん、食べたがってる…。
そっぽ向いて我慢してるけど、私は心が見えちゃうから…。
今日初めて会って、最初はとても怖かったけど、少し可愛くなってきた。

「食べないんですか??なら私が食べちゃいますよ?いただきま…」
「まっ、待て!食わねェなんて言ってねェ!!」
「だってずっと黙ってるものですから…」

不死川さんはおはぎに手を伸ばした。
ひと口パクっと食べたところで、それはそれは嬉しそうな顔をしていた。
他の人は変化に気づけないかもしれないけれど、さっきよりも口角がちょっと上がっている。
あまりにも美味しそうに食べるから、私もおはぎが食べたくなった。

「…んだよジロジロ見てよォ…」
「ひと口だけでいいから、おはぎ下さい…!」
「だっ、ダメに決まってんだろォ?!」

また私は不死川さんが弱い上目遣いをして…

「お願いします…お団子もひと口あげますから…っ」
「ひっ、ひと口だけだからなァッ?!」
「やったあ…!」

不死川さんが食べかけのおはぎを渡してきた。
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