第3章 朝の短いドライブ
幼児化してから降谷の家に住んでいるリュウ
朝も帰りも降谷が公安本部まで送迎をするが、組織で動いている時には数日帰宅しないこともあり、その間は唯一事情を知っている風見が送迎をしている
今回も降谷は組織の仕事で昨日から家を空けている
組織の仕事は危険な事が大半だからとリュウは心配が絶えず、家に独りでいる間は落ち着かない様子でいるようだった
そんな事情を知っている風見
心配からか、迎えは定刻よりも早めにリュウの自宅前に車を停め待機している
「風見おはよ~」
「おはようございます」
そして時間通りに助手席に乗り込んだリュウはまだ眠そうである
降谷が組織にいる間の夜は心配で何度も目が覚めてしまい、気付けば寝不足気味になってしまうという
まだ2日目だからいいが、3日目になったらきっと体調も万全ではなく隈も酷くなるんだろうな…と、また心配になる
「すいません、朝食、今になってしまって…」
朝食は車の中で取る事が多い風見は今日もコンビニ経由で迎えに来ていた
良ければどうぞ、と手渡したカフェオレにニッコリするリュウを見て、今日も良い日になりそうだと気持ちを盛り上げている
警視庁までは差程遠くないが、通勤ラッシュで停車が多めの運転になり、運転手的にはご飯が食べやすいのでちょうど良かったりもする
今日の朝食はコンビニのおにぎり1つにちょっとしたお惣菜
「風見さ、それだけでご飯足り…って、ご飯粒付いてるよ」
可愛い~!とケラケラと笑うリュウに恥ずかしくなった風見は左手を頬に持って行くがそこではない
「ここだよ…」
そう言ってリュウは風見の左側の口元に付い米粒を取り、そのままパクッと自分の口に運ぶ
「リュウさんっ!?」
「へ?」
風見の上擦った声に首を傾げるリュウ
「人の口元に付いた物を食べてはいけません!」
「!…っごめん!いつものクセって言うか零がそうしてたから普通にって何言ってんだオレごめん忘れてぇー!」
言い訳にならない言い訳が早口で並べられ、した方もされた方も顔を真っ赤にして視線を合わせないように遠くを見る
(降谷さんに内緒にしなくては)
(零には内緒にしとこ)
早速今日は良い日になった風見であった
END
(3日目の朝は「星降る本編5章冒頭」にあります!)