第2章 お菓子のおすそ分け
「はい、おすそ分け♪」
公安部署内に可愛らしい声が弾む
公安の天使であるリュウが、各デスクを回って何やら配り物をしている様である
「飴ちゃんっスか!」
「クッキーご馳走様です♪」
配られていたのは飴とクッキー
リュウの両腕には大袋が抱えられており、1人1人に笑顔を振りまきながら個包装を手渡ししていた
大人の目線からするとリュウは見上げる形になり、プライスレスな癒しも一緒に貰えるという大サービスだ
それを見て不機嫌な顔をしているのが、部署内一番奥のど真ん中にデスクを構える降谷零
「僕のリュウに手を出すな」と言わんばかりのオーラを放つことにも、そろそろ部下達は慣れ始めていた
何かを配るのも本来ならば一番位の高い人から配る方が常識なのかもしれないが、リュウはその逆をしている
何故僕の所に一番に来ないのか、そう疑問に思うのはパワハラになってしまうのか、独占欲が強いのか…など悩む零の元にもようやくリュウが訪れる
「零さん、最後になっちゃってごめん」
「僕を最後にした理由があるのかな?」
「うん!だってたくさん両手に抱えてたら零さんのことギューってできないから、ちょうどここで終わりになるように計算してきたんだ!」
少しでも不機嫌になってしまった自分を恨む降谷
「…ありがとう」
そう言って降谷はリュウの頭を撫でる
嬉しそうにニコッと笑うリュウに、周りの部下達はハートを射抜かれる
そしてリュウは空になった袋を降谷のデスク脇のゴミ箱に捨てると、座っている降谷を両腕一杯に抱きしめる
「ちょっと充電な♪」
「じゃあ僕も…」
ベビーフェイスな上司と可愛すぎる天使が抱き合う姿は美しすぎて鼻血もんであると、部下達は尊い涙を流すのだった
END