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取り敢えずケーキが食べたいです【東卍夢(梵天)】

第4章 あ~あ…俺何かに捕まって可哀想に♡


「はっ?えっ…なんで、こんな所に…女の子が、一人でいるわけ?」
「っ…」
「ははっ…怯えてんの?スゲェ可愛いなぁ♡お前、名前は?何て言うんだよ♡」
「水無月栞、です…」
「へぇ…声も可愛い♡俺は三途春千夜、気軽に春ちゃんって呼んでいいぞ♡」

怯えた様子の女の子にゾクゾクと背筋が震える。あぁ可愛い、可愛い、可愛いっっ…名前を名乗るよう促すと、男では先ず出ない可愛らしいソプラノ声でポツリ、水無月栞と名乗った。水無月栞…まるで甘い飴玉を転がすように何度も目の前にいる女の子の名前を心の中で呼びながら頭に叩き付けてしっかり覚える。混乱し顔色を悪くさせる女の子、栞は未だ怯えながらに口を開いた。

「あのっ…聞いても、いいですか?」
「ん?言える事ならなんでもいいけど?」
「ここ、どこですか?私…さっき電車に轢かれて…気付いたら、ここにいたというか…」
「……えっ、何お前…薬でもやってんの?」
「薬なんてやってません!頭が可笑しいのは私だって重々承知しています!でもっ…本当に、分からなくてっっ…」

いきなり訳の分からない事を尋ねられ、薬でラリってんのか?と思ったが、健康的な肌、意思の通った瞳に嘘をついている様子も見られなかった。けれど俺がその事を口に出していたのか、みるみるうちに怯えた表情は悲しさと怒りの顔へと変化した。へぇ…そんな顔も出来るのか、もし嬉しそうに笑った時は一体どんな風に笑うのだろうと興味津々で栞の顔を覗き込む。するとはらはらと真珠のような涙を流しており余りの衝撃でピシリと体が凍り付いた。いやうん、俺のせいだよな…直接彼女に手を下した訳じゃない。でも先程の台詞は俺が聞いてもどうかとは思うし、傷付けたのは俺だろう。生まれてこのかた女の子の泣き止ませ方とか、そもそも先ず女の子に関わった事ねぇから知らねぇんだけど…
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