第16章 東京卍リベンジャーズ・佐野万次郎
地下に到着し
エレベーターのドアが開いて、足を前に踏み出すと
薬の効果がもうあらわれたのか
少しだけ身体が軽くなっているように感じた
(……オレは…これからどこへ行くんだ…?)
《……花垣武道ニ…会イニ行クンダロ…》
(…それはダメだ………いま会ったら…オレはアイツを殺しちまうかもしれない…)
《……殺シテシマエバイイ…………アレホド忠告シタノニ聞キ入レナイノナラ……コノ先モ邪魔ニナルダケダ…》
(………待て………ダメなんだ……)
身体がフワフワして
まるで夢の中に居るみたいだった
(………これは…夢なのか?………夢ならいい。…………さっきの嫌なニュースも……鶴蝶からの報告も………全部夢なら…それでいい……)
ペタペタとサンダルの足音を響かせながら、車の方へ歩いていく
後部座席に乗り込むと
運転席に回った三途がエンジンをかけた
「……マイキー……あんな事があった直後だから、一応持っていてくれ…」
三途はグローブボックスからオートマチックを取り出して、俺に手渡した
「……" あんな事 "…?」
「………いや、何でもない……とにかく護身の為にも持ってろ…」
「……………分かった…」
渡された銃に弾が入っているのを確認してポケットに突っ込む
あの嫌なニュースの場面がノイズのようにチラついたが
俺は頭を振って追い出した
シートに深くもたれ、車が動き出すのを感じながら
ゆっくりと目を閉じる
(……こんな風に淡々と毎日をやり過ごしていれば……また、月末の水曜日にはレイナに会える…………レイナに会ったら…今度は何を話そう…)
大好きなあの笑顔を思い浮かべると
いつものように
俺の心は穏やかな幸せに包まれていく
「………イイ未来ダロ…?」
耳元で
自分の声が聞こえたような気がした…
佐野万次郎 夢小説 【梵天ルート】end.