第16章 東京卍リベンジャーズ・佐野万次郎
「……」
「………マイキー、大丈夫か?」
「……?…」
「………あの事は…本当に気の毒だと思ってる………事務所で眠るのもいいが……一度帰って、ゆっくり休んだほうが…」
「……" あの事 " って、何だ…」
「……っ……だから、先週の…六本木の…」
「鶴蝶」
鋭い声に顔を向けると
いつの間に入ってきたのか、ドアの側に三途が立っていた
「……報告が終わったなら外してくれないか……ボスに話がある…」
「…………あぁ……」
俯いた鶴蝶が足早に出て行くと
三途はドアを閉め、ソファの方へ近付いてきた
「……花垣がまた宇田川の廃ビルに来てるそうだ…」
「…………そうか…」
「…まだ様子を見るつもりなのか?……そろそろオレが行って警告を…」
「いや…………オレが行く…」
「……っ…」
「………三途………車を出してくれ…」
「……………うっす…」
俺は立ち上がって部屋を出ると
三途の後ろを歩き、エレベーターに乗り込んだ
駐車場のある地下へと降りながら、額に手をあてた
頭の中には
しきりに妙な光景が浮かんでくる
事務所のテレビ画面に
六本木のマンション前で起こった刺殺事件のニュースが映し出され、感情の無いアナウンサーの声が聞こえた
" …死亡したのは、このマンションに住む織月レイナさん "
" 警察は織月さんが対立する組織同士の抗争に巻き込まれた可能性もあるとみて、調べを進めています… "
(……あぁ………俺は…また夢を見ているのか…?………それにしても嫌な夢だ……)
「……マイキー……コレを…」
思わず身震いをした俺に
三途がピルケースに入った錠剤を差し出してくる
「……」
黙って一錠受け取り、口の中で噛み砕いた