第5章 東京卍リベンジャーズ・松野千冬
2006年4月─────
中3になったばかりの放課後
帰りのHRの後で担任に呼び出しをくらった
職員室に連れて行かれ
ダルい説教をテキトーに聞き流して教室に戻ると
みんなが帰った後のガランとした教室に
女の子がひとり残っていた
俺が入って行った途端
その子が弾かれたように椅子から立ち上がる
「……?」
1、2年の時は違うクラスで
それまでに話をした事もない子だった
俺はあまり気にせずに窓側の自分の席へ向かい
鞄を取って教室を出ようとした
その時
『……あのっ…松野君…』
「…ん?」
『………話があるんだけど……ちょっとだけ…いいかな…』
声を掛けられて驚いたが
別に急ぐ用事も無かったので
「何?」と言ってその子の方へ近付いた
『……あの……あのね…』
「…?…」
『……松野君……付き合ってる人とか…好きな人……居る?』
「……ぇ……別にいねーけど…何で?」
『……ぁ…』
顔を赤くして俯いた彼女を見た時
ようやく察しがついた
(……コレって………マンガとかで良く見るアレ?告白ってやつ⁇………話した事も無いのに……何で…)
そんな疑問が頭の中を回り始めた俺に
彼女は予想した通りの言葉を告げた
『……あの…私……松野君のこと……好きなんだ…………それで……もし良かったら…付き合ってくれない?』
彼女の名前は
"織月 レイナ"
レイナはギャルのような派手な感じでは無く
どちらかと言えば真面目そうなタイプだった
小柄で控えめな雰囲気の彼女は
1年の頃からヤロー共の中では密かに人気があって
俺も「確かにかわいいな…」位は思っていた
そんなレイナに突然告られた俺は
何で彼女のような子が自分を好きになったのか不思議に思いつつも
特に断る理由もなかったので「……いいけど…」と答えた
そして
その日から
俺達は付き合うことになった