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裏夢・短編 詰め合わせ【東リベ etc.】R18

第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ






「エマ、お兄ちゃんにバイバイして」


物憂げな母親の声に促され
エマは目の前の兄を見上げた

パンパンに荷物の詰まったリュックを背負い、いつもより少しきれいな服を着たイザナは
4つ下の妹の目を真っ直ぐに見つめ返すと、静かな口調で言った


「お別れだ…ニィは " シセツ " に行くんだ」

「…シセツ?…楽しいトコロ?」


無邪気な瞳で問われ
今朝のことを思い出す


" …イザナ…これからは一人だから……強く生きなさいよ "


薄らと涙を浮かべた母親の顔を見て
" シセツ " がどんな所なのか何となく想像がついた


けれど
まだ3歳の妹に何を言っても、きっと分からないだろう

だったら
せめて笑顔で別れたかった


「うん!きっと楽しい」

「えー‼︎いーなー‼︎エマも行きたい」

「ハハ…」


まるで遠足の日の朝みたいな
エマの言葉

もう会えなくなるなんて
これっぽっちも理解していない幼い妹の目を見て
イザナは言った


「そのうち…必ず迎えに行く……約束だ…エマ」




灰色のスーツを着た、役所の男の人が運転する車の後部座席に膝をついて
後ろを向いたイザナは2人に手を振り続けた


(……母さん……こっちを見て……)


けれど
その姿が小さく小さくなって
車が角を曲がるまで
母親が顔を上げることは無かった










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