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裏夢・短編 詰め合わせ【東リベ etc.】R18

第4章 東京卍リベンジャーズ・羽宮一虎




ここへ来たのは中1の夏

東卍を結成したばかりの一虎達は

海水浴がてら湘南へツーリングに来た




(…地元の族が絡んで来たの…この辺だっけ?……マイキーの"ホーク丸"がガス欠になったのはもう少し先だったな…)






その先に待ち受ける運命など

まだ何も知らなかったあの頃




みんなの無邪気な笑顔を思い出し

悲しく微笑んだ一虎の後ろから

誰かの声がした





『…今日はダンパー気味だけどそこそこ楽しめたよ〜』



振り返ると
堤防の下にサーフボードを抱えた女の子が立っていた

日に焼けた肌
束ねた栗色の髪の先からポタポタと水滴を滴らせている


「…?…」


言葉の意味が分からず黙っている一虎に
彼女はなおも話しかけてくる


『……オニーサン……ロング?…ショート?』

「……へ?」

『……?…ボード。……あれ?サーフィンやってるんじゃないの?』


やっと話が掴めてきた一虎は
苦笑いをして言った


「…あー……サーフィンは一度もやったことないや…」

『…そっか。……ごめんね…真剣な顔して沖の方見てたから勘違いしちゃった…』



彼女は足首に巻いたバンドのようなものをベリベリと外しながら
『かっこいいタトゥーだね』と笑う


人懐こい笑顔が
一虎の心をほぐした


「…楽しいの?サーフィンて」

『ウン。メチャクチャ楽しいよ』

「ふぅん」

『…オニーサン…この辺の人?』

「ううん。東京から電車で来た」

『…そうなんだ……私もコッチに引っ越して来る前は東京に住んでたよ。……そっかぁ…もし家が近かったら、私が波乗りの楽しさ教えてあげたのに…』

「…あぁー…それは残念だなぁ〜…」


一虎がわざとらしく悔しがってみせると
彼女は『…オニーサン…心無ぁ…』と言って苦笑した


彼女は堤防に寄りかからせるように停めてあった自転車に
サーフボードを脇に抱えたまま跨ると
ペダルに砂の付いた素足を乗せた


『……んじゃね、オニーサン♪…私…大抵この辺で入ってるから。…また会ったらよろしくね』

「…ぁ……ウン」


片手で器用にハンドルを操りながら
駐車場を出て行く彼女の後ろ姿を
一虎は微笑んで見送った










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