第3章 東京卍リベンジャーズ・半間修二
エレベーターを出ると
目の前に
ハートとリボンに囲まれた世界が現れた
天井を埋め尽くす
パステルカラーの風船
壁のあちこちに
メルヘンチックなオブジェが貼り付けられている
ピンク色のソファの席に案内された死神は
ふわふわのファーでできたウサギ形のクッションを指先で摘んで退けると
そこに腰をおろした
『…食べ物の好き嫌いとかありませんか?』
「…別に…」
『かしこまりましたご主人様♡少々お待ちくださいませ!』
そう言って席を離れたレイナが
数分後に運んできたのは
ケチャップで♡マークが書かれたオムライスと
デコ盛りのパンケーキだった
『お待たせいたしました♡ご主人様』
最後にレイナは
死神の前に赤い液体の入ったグラスを置いた
『どうぞお召し上がりください♡』
ペコリとお辞儀をして
カウンターの中へ下がっていく
「……」
赤い液体には炭酸が入っているらしく
シュワシュワと音を立てている
死神が恐る恐るハート形のストローに口をつけると
激甘なイチゴシロップの味がした
「……だりぃ…」
死神はそう言いながら
♡付きオムライスも
デコ盛りパンケーキも
激甘イチゴソーダも
全てを完食した
『…嬉しい♡全部食べてくれたんですね♪』
死神は財布を出したが
レイナは断固として金を受け取らなかった
『その代わり、また来てください♡』
そう言った彼女の後ろで
他の客やメイド達が顔を引きつらせているのを死神は目の端で見ていた
エレベーターで1階まで見送られ
笑顔で手を振っているレイナに背を向けると
稀咲がギョッとした顔をして立っていた
「意外だな半間。…オマエ、そういう趣味あったのか」
「……だる過ぎ」
『また来てくださいね〜♪』というレイナの声を無視して
タバコに火を付けた半間の背中は
いつもより丸まって見えた