第2章 東京卍リベンジャーズ・柴八戒
ひとしきり泣いた後
レイナは『今日はココで寝ていい?』と聞いた
「…ベッド、使って」
『…ううん、大丈夫。……疲れてる所…こんな時間に押し掛けてゴメンね…』
そう言うと
彼女は身体を丸めて横になった
「……」
オレはベッドの方へ行き
部屋の明かりを落とした
そして
毛布を手にレイナの所へ戻る
背中を包むように掛けてやると
『ありがとう』と小さな声が聞こえた
グスグスと鼻を鳴らす音
レイナは
まだ泣いているみたいだった
「……」
そのまま放っておけなくて
ティッシュの箱を側に置くと
彼女は身体を回して
オレの方を向いた
少しだけ開いたバスルームから
柔らかな明かりがもれて
涙に濡れた瞳が
キラキラと光っている
本当に
美しい女だと思った
タカちゃんが
一目惚れして愛した女
雄のような顔をしたタカちゃんが
夢中で抱いていた女
自分を動かしたのが
どんな感情だったのか分からない
ただ
彼女に
触れてみたいと思った
タカちゃん以外の人間に対して
こんな気持ちになったのは
生まれて初めてだった
オレは
レイナの唇を指先でなぞると
そこに
自分の唇を押しあてた
小さな水音を立てて離れると
レイナはオレの瞳を真っ直ぐに見つめて言った
『……慰めて…くれるの…?』
彼女の腕が
オレの首に巻き付いて
引き寄せられるように
もう一度
ふたつの唇が重なった