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幸せの生き方 ※名探偵コナン 安室透落ち予定

第2章 初めまして



「すみません。今は少し我慢してください。そのうちにでも窓のある部屋へ案内しますから。」


ここは地下に作られた小部屋。
窓がなく、明かりだけ灯されたいわば閉鎖空間。

少し申し訳なさそうにほほ笑む男性に、少女はまっすぐに瞳を向ける。
何か言いたそうに口を少し開けたが、そこから言葉が紡がれる事はなく、コップの水を口内に流し込んだ。


「あ、そうだ。まだ名前を伝えてませんでした。私は安室透と言います。お名前を伺ってもよろしいですか?」


傍に置いてある簡素な椅子に腰かけながら、男性・安室は優しく挨拶をする。
名前がわかれば、あとは部下に詳細を調べさせることが出来る。
打算を含んだ質問だ。

だが、少女はその質問に首をかしげるだけで
返答をすることがない。

まさか、自分の裏の考えが読まれた?
あえて返答しないのかと、少女に疑問を持った表情を向けながらも
安室の内心は冷や汗をかいていた。


「名前…。いっぱいあるの。」


困ったような表情で、少女は考えるように天井を見上げた。


「マリちゃんとか、ユキちゃんとか。好きな名前で呼んでもらってた。」


だから、あなたも好きに呼んで?と
少女は満面の笑みで答えた。

営業用とでも言うのか。
いつも、男を相手にするときに使っているんだろうと
容易に想像できるようなその笑みに、安室はまた胸を締め付けられる思いになった。

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