第4章 遺産
「大金のためなら何でもする、ということなのね」
「いえ、ナランチャたちは生きています。この船のどこかにいます。人質として利用しようとしているかは知りませんが、とにかく生きています。」
そのジョルノの目は真っ直ぐ真剣なものだった。
「ジョルノジョヴァーナ、何でお前さんにはっきりとそんなことがわかる」
「僕のスタンドでナランチャの靴をハエに変えました。ハエは主人であるナランチャのもとに帰ろうとしています。ナランチャが死んでいればああいう風に探すように飛び回らない。」
「探せるのか。」
「生きてはいます、生きてはいるんですが船室でも、ロッカーの中でもない。さっきからあのあたりを、ナランチャを探しているように飛ぶんです。
ナランチャはあの船室への入り口あたりにいます。それは確かです。
しかしなぜかハエは見つけられない。方向を見失っているんです。
ナランチャのいる所。的のいる所と考えていいと思います。」
「じゃあ私の考え通りってことね」
「そうです。的はただ単に物陰に隠れているというわけじゃあないんです」
「うかつに近づいたらやられるってことか。」
「裏を介せば、そこが短所。そこを逆手に取ればやつを倒せる、ということだね」
「棗、ご名答です。あなたの能力で探知できればいいのですが、確実性もない。その一歩で危険な目に合わせてしまうのは僕は嫌です。」
「それじゃあお前の能力で倒せるな、アバッキオ」