第9章 オリジン組メンバーの眼を盗んで出久くんと濡れた色事に耽る話
グラつく眼が無意識と鏡を見据える。ソコには、多くが凛々しく謙虚と呼ばれている自分はいない。弛緩した口端からだらしなく涎が垂れ、律動が激しくなるに連れて歪み始める雌じみた顔。そして最奥を抉られる度に一段と醜くなる呂律。快楽絶頂の虜になっていたせいで意識していなかったけど、いつもこんなあられもない姿を晒していたのか?
『あ“っ……♡ゃ……』
恥ずかしい、こんなの見るに堪えないに決まってる…。脳内で否定を強調するも、一方的に甚振られる自身の痴態をしっかりと緑色の瞳が捕らえている。本来ならば夢や希望、平和な未来を見据えるべき筈が、その眼には言わずもがな、性愛、支配欲、加虐心などと言った感情が湛えており、相手を唆そうと蛇の囁きのような幻聴まで起こしていた。
「教えて?」
荒れ狂う熱に襲われつつ、じりじりと羞恥心に身を焦がされる。抵抗意欲すらも溶かしてくるその優しい声音に心が蝕まれていくようだった。
ぐぽぉっ♡ぐぽぉっ♡ぐぽぉっ♡どっちゅんっっ♡♡ぬっちゅんっっ♡♡
『ひぎぃっ…!♡は、はずかしっ、のに”♡みじめで…う“っ、やなのにぃ…♡しゅごく、ひもちいいの”♡いじゅく、におかひゃれて…、みられへ…♡こうふん、ひちゃう”♡ めしゅになっへる…ああ“、いいよぉ”っ…!♡お“ぉ、ほあ“っっっ…♡♡」
「うん、紛れもなくそれが君だよ。こんないやらしいの見たら、甘イキ止まらなくなるね…♡んむっ、ん…♡」
たった今、人生で最もドマゾったことを口走ったような気がする。その内容を思い出す前に、顎を捉えていた手が顔を振り向かせ奪うように口付けてきた。しかし、キスと呼べるような綺麗なものとは程遠く、縮こまっていた小さな舌を緑谷は自身の舌先で吸い上げ、目前の二人に見せ付ける形で何度もべっとりと粘膜を擦り合わせた。
今まで見ることもなかった波打つ肌が、舌の艶めかしい動きが、貪り合いが…、その全部が鮮明に鏡に映っている。そのインモーラル過ぎる絵面と情報の多さに追いつけず、制御出来ない快感が背を貫き、更なる堕落を望むよう全身が嬉々と媚びた。