第8章 誕生日にアメコミ小ネタかました出久くんとサンデー作りする話
空間に吐息が溶けては消えて、徐々に意識が遠退いていく…、でもダメだ。後片付けとか、処理がまだ残っている。それにもう時間が…。彼は雄英に戻らなくてはならないのだから、こうしちゃいられない。力の限りぶぶ漬けをすすめなくては、帰り便に乗り遅れてしまーー。
『でゆっ…!♡でひゃう”ぅっっっ…♡♡ん”んぉっ……♡♡』
「こら、飛んじゃダメだよ?やっと半分なんだから…♡」
『はひぃ……♡お、あ“ぁ♡い“、じゅ…く……♡もっ、はい”っ…♡もう、いっふぁい……しぉ?♡』
「しょうがないなぁ……、誕生日だもんね♡」
ヒーロー、とっくに過ぎてます……何もかもが。身体の隅々まで喰い散らしたように、赤いリボンの束縛もまた無残に引き裂かれた。
…――
こんなダジャヴ前にも…。
眼が覚めれば朝。肌寒くて、重くて、痛いなと思ったら、キッチンの床に寝っ転がっていて、スヤスヤと寝息を立てている緑谷が掛け布団見たく上に乗っかっていたのだ。無論、二人仲良く素っ裸のままで。ベッドルームにも行かずずっと夜を営んでいたのだろうか。なんかそこ等中に小道具やら食材等やらが散らかっているし、テーブルも元の位置から離れてしまっている気がする。
どこからどう見ても事故現場。どれだけヤったらこんな悲惨な絵面になるんだっ…と秘多は突っ込みたくなるものの、深夜での情事は殆ど記憶に残っていなかった。朧げに覚えていることがあるとすれば、彼に祝ってもらったバースデーナイトがとんだ災難だったことくらいだ。その上意識だけでなく、記憶まで吹っ飛ばしておきながら女体の上で爆睡とは……。
『蜘蛛男も表では内気な人けど、案外激しかったりするのかな』
「ふえ??えとっ……ごめんね?本当に」
『ふふっ…ほら、この親友に殴り掛かるシーンとか。荒れる時もあるんだなーって…』
「へっ……?あ、うん、そうだね……」
でもまぁ…、反省している本人は授業休んでまで大掃除と炊事を手伝ってくれた事だし。こうやって一緒に映画シリーズのブルーレイを観ながら家でまったり出来ただけでも良しとしよう。
END