第2章 そのひと時は悲しき思い出(切)●河田ナホヤ
放課後、私はモヤモヤとした気持ちで教室を出る気力もなく自分の席に座っていた。
外は小雨が降っていた。
そういえばあの時も雨で、こうして一人で待っていたらナホヤ君が来たっけ。
一人になるといろいろ考えこんでしまう。
あの、ゆきとかいう子の告白はどうなったのか、ナホヤ君はokしたのか、と。
ナホヤ君のことが好きな女の子は、あの時の女子たちの話からして結構いるらしかった。
事実、年齢問わず彼に話しかける子は多くいたのだ。
その中にあの子も含まれていた。
あの子と話す時の彼は笑顔だった。
あの時私に見せてくれたものと同じように。
そう思った瞬間この恋心は実らないことを知った。
思うだけ無駄だった。
女の子たちに向ける笑顔はみな同じ、私もただその一人に過ぎなかった。ただそれだけだ。
私は自分に何度も心の中でそう言い聞かせた。
言い聞かせるたびに辛くなってくる。しかし今はこうしてごまかすしかなかった。
雨の降っている校庭を一つの桃色の傘が歩いていくのが見えた。
3階からその姿をぼーっと眺める。
足元が見える。男女だった。
だんだんと遠ざかっていくうちにやがてその全体像が見えた。見覚えのある赤いパーカーと、あの子の姿。
桃色の傘は彼が差しあの子に雨がかからないよう寄せていた。
そして二人が横を向き楽しそうにおしゃべりする。
そっか・・・告白成功したんだ。
二人が見えなくなった後もしばらく外を眺めていた。
雨は上がった。