【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第53章 Epilogue ☆
零にひたすら抱きつきながら、零の匂いを嗅いで、これから毎日この部屋でこうして零と過ごせることの喜びを噛み締めた。
「ねぇ零。
わたしね、事務所も辞めて、荷物ほとんど捨ててトランクひとつとギターだけで帰国したから何もないの。」
「うん…」
「でも、歌をやめるつもりはないよ。
今日から…ただの雨宮リラとして、新しく自分の力で歌を届けていくつもり。
事務所の力も、Lilaという名前もないけど…
零のそばで、自分の歌を少しずつたくさんの人に届けたい」
「それなら、僕は雨宮リラのファン第一号になる」
そう言って零は、優しい目をしてわたしの髪を撫でた。
「リラ…覚えてる?ベルツリータワーで僕が言ったこと」
「忘れるはずないよ」
「リラがLilaじゃなく雨宮リラとして、また大勢のファンの前で歌を届けるようになったら、そのときは…
もう一度、あの話をリラにするから。」
「零…」
「その時まで、隣でずっと見守ってる。
もうどこにもいかない。」
あぁ。
零が隣にいてくれるなら、わたしはきっと前のLilaを超えられると思う。
この1LDKから、また零との恋の続きが始まる。
そして、わたしの夢もまた新しく始まる。
「ねぇ、零。
さっそく、雨宮リラの一曲目が出来そう」
「もう?タイトルは?」
目を丸くする零に、わたしはイタズラ好きの少女のような顔をして、そっと零に耳打ちをした。
「Begin Again」
またここから、はじまる
THE END