【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第53章 Epilogue ☆
零と一緒にポアロに入ってから、わたしたちはこの2年で経験したことを話してた。
「それでね、初めてあのビヨンセに会ったの!
もうオーラがすごくて…」
「へえ。世界的な有名人と同じステージに立っていたとは、改めてすごいな」
けれど気付けばわたしの話ばかりしていた気がするのに、零はずっと楽しそうにわたしの話を聞いてくれた。
片手には零が淹れてくれた美味しいブレンドコーヒー。
離れていた2年を埋めるのに必死で、夢中になって話をしていたけれど
その終わりを告げるみたいに、ポアロに置いてある鳩時計が鳴った。
ピッポ…ピッポ…
「…もうこんな時間ですか」
零はキッチンに立ち、コーヒーカップを拭きながら時計を眺めると、
時計の針は21時を指していた。
2年ぶりの再会を果たしたあの瞬間はまだ明るかった外も、すっかり夜に落ちていて、こんなに長い時間零と話をしてたんだと驚くほどだ。
本当に、零といると時間が一瞬で過ぎていく。
だけど足りない…
離れていた2年分早く取り戻したくて、たった数時間一緒に話しただけじゃ全然足りないよ…
「そろそろ帰りますか。外も暗いし、送ります。
どこのホテル?」
「…え…」
当然のように、わたしの帰るべき場所へ送って行こうとする零。
もちろん、零に拒絶された時のことを考えて、一応ホテルは取ってあるけど…
今日はこのまま手を振ってバイバイ?
じゃあ、次はいつ会えるの?
思えば零とは出会った時から一緒に住み始めてたから、別々の家に住む恋人同士って、次いつ会うかどうやって決めるんだっけ…
ただでさえ零は忙しいだろうし、次会える日を今日決めるなんて出来ないかもしれない。