【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第52章 最終章 Begin Again
2年後
喫茶ポアロには相変わらず緩やかな時間が流れている。
「安室さん、わたしちょっと買い出しに行って来ますね!」
「えぇ。行ってらっしゃい」
ポアロの客の波が落ち着いて来た時、梓さんはエプロンを外し、財布だけ持つと小走りに業務用スーパーへ向かった。
この2年で、僕の環境は少し変わった。
リラがアメリカに発ってすぐ、僕は風見の家から自分の家に引っ越した。
自分の家とは、リラと出会った時に住んでいた、ワンルーム。
偶然、同じ部屋がタイミングよく空いたらしく、そこに戻る形となった。
公安警察、探偵、黒の組織のメンバー
このトリプルフェイスのうちの 黒の組織バーボンは組織壊滅と共に消滅。
もう毛利探偵事務所を張る必要も無くなったのだけど、ここでの仕事が妙に気に入ってしまい、安室透としてポアロの仕事を続けている。
公安警察として、今は別の事件の捜査中。
安室透という名前も、この仕事も、毛利探偵事務所のそばにいることも、結局都合が良いのだ。
「安室さんー!オレンジジュースひとつ!」
「はーい」
手を挙げて僕に注文をする常連さん。
席に座っているのは晴れて大学生になった園子さん、蘭さん、それに…
「あ!新一!それ私のサンドイッチ!」
「いーじゃねぇか。ひとつぐらい」
工藤新一くん
彼と蘭さんの交際は順調で、そのうち彼らの両親のように学生結婚するのでは?なんて、ポアロではちょっとした話題である。
この2年で色んなことが少しだけ変わった。
リラ。
君は今、元気か?
君の顔は別れてからも、毎日嫌というほど見るよ。