【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第50章 Last Kiss
零の放った言葉に、世界中の時計が深夜1時58分で止まった気がした。
だけどすぐに分かった。
止まっていたのは時間ではなく、わたしの思考。
まるであの時、零に結婚しよう言われた時みたいに、夢を見ているような気分だ。
けれどあの時とは180度違う。
悪夢を。
「いま、何て…?」
聞き間違いだと信じたくて、わたしは震える声でそう聞いた。
そんなわたしに、零は変わらず優しく笑って言う。
放つ言葉に似合わないほど、穏やかな声で。
「別れよう。僕たち」
「…や…もうそんな冗談やめてよ!
全然笑えない…から…」
零はこんな冗談言わない。
それはわかっているけど、あまりにも突然で零の雰囲気もとても別れ話をしているように見えなくて、震える声でそう聞いた。
だって、別れようと言う言葉とは裏腹に零の表情はいつものように優しい。
「…本気だよ」
「…どうして…?」
零の答えは、一貫して変わらない。
別れようと言われたはずなのに、あまりにも信じられなくて、取り乱すことすら忘れて理由を尋ねた。
零は、わたしの大好きな横顔で星空を見上げながら言った。
「リラは、アメリカに行くべきだ」
「…知ってたの…?」
「あぁ。」
最悪だ。
わたしが話すのを躊躇している間に、違う人から零にその話をされていたなんて。
もっと早く言うべきだった。
そして、あの時零に結婚しようと言われた時、すぐにYESを即答すべきだった。