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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第49章 守りたいもの




運転席から見える景色はいつもと全然違う。

左隣の零を横目で盗み見ると、月明かりが横顔を照らしてとても綺麗だと思った。

いつも助手席から眺めるのは零の反対側の横顔だ。
当たり前なんだけど、どちらから見ても余すところなく零は綺麗。

そんな彼の横顔にチラチラと見惚れながら、ナビの案内通りに2時間ほど走って到着したのは、小高い丘の上。


「…ここ?」

「うん。…出よう」


何もない場所で、本当にここで合ってるの?と零を見ると、零は静かに頷いてシートベルトを外した。

言われるがままわたしも運転席を出ると、そこには見覚えがあった。


「…もしかして、ベテルギウス…」

「正解。ベテルギウスを一緒に見た場所」


そう。
零が寄り道したいと言った場所は、わたしが藤さんとのコラボで曲が書けないと悩んでいた時に零が連れてきてくれたところ。

2人で星を見上げて、何百年先も一緒に見ようと誓った場所だった。


「今日は…もう春だからベテルギウスは見えないね」

「あぁ。」

「まぁでも、また来年見に来ればいいか!」


深く考えずにそう言って零を見ると、零はわたしをじっと見つめた。

てっきり、うん。そうだな。と言ってくれるものだと思っていたわたしは、その零の表情が何故かとても切なそうに見えた。


「零…?」


「リラ」


そう言えば、さっき零はわたしに話があるって言ってた。
零の話って、何なんだろう?

そんなこと、呑気に思っていた数秒後、零から思わぬ言葉がこぼれ落ちた。




「別れようか」




「え…」



春の夜の風が冷たく頬を冷やして、夢だと思いたいのに現実だと実感させる…

零の顔はいつもと同じ穏やかで、その笑顔の中にいろんな感情を隠してる。

そう。まるで初めて出会ったあの日みたいに、
そんな顔して笑ってた。




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