【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第48章 都会の光の中で ☆
安室side
「リラ…?」
気付けばリラは僕の腕枕の中でスースーと寝息を立てて眠っていた。
「寝ちゃいましたか」
そう微笑んで髪を撫で、リラの頬に指を寄せると、んん…と少しだけ眉を顰めた後また元通りの寝顔に戻る。
愛しいな…このまま、絶対に離したくない。
さっき、リラを抱いている間、僕は何度もリラにずっと一緒にいて欲しいと伝えた。
何度も、何度も、しつこいぐらいに。
リラはその度に僕にぎゅっと抱きついて、好きだと答えてくれた。
お互いが、お互いをこんなにも想い合っているんだ。
二人が一緒にいることが、間違いなはずない。
そう思いながら眠るリラのおでこにキスを落とし、僕は水を飲もうとキッチンに向かった。
冷蔵庫の扉を開け、ペットボトルを取り出すとそのまま口につけて水を体内に流し込む。
また今度、あの指輪をちゃんと見せながらもう一度プロポーズしよう。
絶対に離さない。
水を飲みながらそう決意して、リラの眠るベッドに戻ろうとしたとき、リビングを通った時に何かに躓いた。
なんだ?と足元を見るとそれはリラのバッグで、蹴飛ばしたその拍子にあるノートがバサッとページが捲れた状態で飛び出した。
元に戻そうと慌ててそれを拾い上げると、開かれたそのページには、歌声を失ったリラが再び歌えるようになった時、音楽に対する想いを綴った歌詞が書かれていた。
ラブレター
そう題されたその曲を、リラがあのゲリラライブで歌うのを見た時、僕は思ったんだ。
この歌声を守るためなら、なんでもすると。
僕はリラが歌っている姿が好きで、リラの歌声に何度も救われて、リラの歌声を守ろうと何度も誓った。
なのに今は、僕がそのリラの歌を奪おうとしているのか…
本当にこのまま2人で一緒にいるのが、リラにとって幸せなのか?
幸せにしてやる。そう思っていた気持ちが、この歌詞を見て揺らぐ。
お互いがお互いをこんなにも想い合っているのに、どうして…
一緒にいることが、まるで罪みたいだ…
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