【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第48章 都会の光の中で ☆
収録が終わり、楽屋で着替えて帰り支度をした。
「山岸さん、帰るから送ってくれる?」
「わかった。
社長なんだけど、ここ最近は忙しいらしくて、二週間後にアポ取れたから」
「うん。その時にちゃんと返事する」
そう言って、山岸さんに連れられて局の通用口から外に出た。
その時、駐車場の山岸さんの車の隣に、白のRX-7が停車しているのが見えた。
「え…零!?」
思わず立ち止まると、わたしに気付いたのか運転席にいた零が車外に出てきた。
「リラ。お疲れ様」
「零!どうしてここに?!」
「リラとドライブに行こうと思って、迎えにきたんだ」
そう言って微笑む零。
ドライブって突然だな…
そう思いながらも、わたしは山岸さんにゴメンのポーズをしながら言う。
「送ってってお願いしたけど、零に乗せて帰ってもらうね」
「あぁ。分かった。
じゃあ僕はこれで。Lila、お疲れ」
手を振って山岸さんが立ち去ると、零が助手席のドアを開けてわたしに笑いかけた。
「どうぞ」
「…ふふっ」
「?どうしたの?」
思わず笑みを溢したわたしに、零は目を丸くして首を傾げた。
「だって、初めて会った時とおんなじなんだもん。
零が助手席をこうやって開けてエスコートしてくれた時のこと、すごく覚えてる」
懐かしむように、慈しむように、思い出を愛でながらわたしは零の車の助手席に座った。
世界で一番乗り心地のいい助手席に。
「じゃあ、出発しますか」
「そう言えばドライブってどこに行くの?」
「着いてからのお楽しみです」
綺麗な整った顔でパチッとウインクをした零は、安全運転で車を走らせた。