【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第47章 夢を奪う権利 ☆
安室side
ある朝、目が覚めてリラを見ると、リラは僕にしがみついたまま泣いていた。
「リラ…?」
「…ん…」
目ににじむ涙を指で拭いながら彼女の名前を呼ぶと、リラは眠っていたようでゆっくりと目を開けた。
涙に濡れた瞳の中に、僕の心配そうな顔が映ってる。
そんな僕に、リラはきょとんとした顔で尋ねた。
「おはよ…零、どうしたの?」
「どうしたのって…リラが泣いてたから…」
「え…」
自分でも無意識だったのか、眠っている間のなにか嫌な夢の影響なのか、自覚のないリラは自分の頬に触れ、濡れているのを感じて目を見開いた。
「…ほんとだ…気づかなかった」
そう言って力なく笑うリラ。
少し前から、ぼーっとしたり、考え込んだ顔をしたり、かと思えば無理して笑ったり、明るく振る舞ったりするのが気になっている。
そう、あの日社長と会食に行くと言って、そこから帰ってきてからだ。
様子がおかしくなったのは。
「リラ」
「ん?」
「事務所の社長となにかあった?」
そう聞かれて、ビクッと身体を揺らしたリラ。
きっと図星なんだろうが、驚くほどリラは嘘が下手くそだ。
「何も…?なにもないよ?」
「…そう?」
何もないわけがない。
明らかに、いつものリラとは様子が違うのだから。