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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第46章 掴みかけた夢 ☆




零に抱かれて、寂しい気持ちが埋まった。
やっぱりわたしには零が必要だ。
変だよね。出会う前は零がいなくても普通に生きて来たのに、零に出会ってからは、もう零無しでは生きられなくなってる。

腕枕をされながら零の身体にくっつくと、零の鼓動の音が聞こえる。
この音を、これからもずっと近くで聴いていたいと、そう思った。


「リラ…何か困ったことがあったら何でも僕に言って?」

「え…」

「…何か、帰ってきてから様子が変だから」


やっぱり零は気付いてた。
そりゃそうか。
零はいつも自分のことよりもずっとわたしのことを気にかけてくれてるから。

そんな零に心配かけたくなくて、わたしは笑いながら何もないよと嘘をつく。


「ううん。何も無いよ。
…そう言えばさ、零って公務員だよね?
警察官ってもし、海外に旅行するってなったら手続きとかいるの?」

「なに?突然だな。
海外旅行でも行きたいのか?」

「う、うん!零とヨーロッパとか行きたいなーと思って!」

「なるほど?
そうだな…長期休暇はあるから、申請すれば行けないこともないよ。
ただ、上層部の許可が出るのに時間がかかるから早めに申請すれば」

「ふぅん…じゃあさ…
もし長期滞在ってなったら?」

「旅行じゃなくて長期滞在?
うーん…2週間程度なら有給休暇を取るか…
それ以上になると警察官を辞めるかのどちらかかな。」


零が警察官を辞める。
それはわたしに取って、自分が歌手を辞めること以上にあり得ないことだった。


「そっか…」

「どうして急にそんなこと?」

「…ううん?何でもない。
…ロンドンのお母さんのところに遊びに行こうかなーと思ってて、零も一緒に行けたらいいなーって。
ほら、お母さんも零のこと気に入ってたし!」


またそうやって誤魔化したわたしを、零は優しく髪を撫でて微笑んでくれた。


やっぱり、わたしが取るべき選択肢は一つ。
世界中のファンの前でステージに立つ未来より、
零の隣にいる将来のほうが大事だ。

答えはこんなにもはやく、定まった。





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