【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第45章 4枚の桜のはなびら
安室side
ある日、珍しく風見と一緒に被疑者の張り込みをしている時だった。
「降谷さん、コーヒーとあんぱん、買ってきました」
「…昭和の刑事じゃあるまいし…」
風見が買ってきたもののラインナップにそんなツッコミを入れながらも、僕はその袋を風見から受け取った。
「いや、まあいい。どうもありがとう」
そう言って、中に入っていた缶コーヒーを取り出してプルタブを開けた時、風見が首を傾げた。
「降谷さん、しばらく食事を摂っていませんでしたよね?
お腹、空かないんですか?
ま、まさか!あんぱんお嫌いでしたか…?!」
どうやら、僕があんぱんに手をつけず、コーヒーだけを先に飲み干したことが気になったらしい。
さすが警視庁公安部の刑事。と言ったところか。
そんな風に内心感心しながら、心配そうな顔をする風見に笑って見せた。
「実は、今日はあまり食欲が無いんだ。
コーヒーだけで十分だよ。
風見にあげよう」
そう言ってあんぱんを風見にひょいっと投げると、風見はそれを慌ててキャッチした。
「ありがとうございます…
ですが、食欲不振って大丈夫ですか?
張り込み、別の人に代わってもらった方が…」
「大丈夫。
少し風邪気味なだけだ。
その程度で、人員配置を動かすわけには」
そう言った瞬間、目の前の風見の顔がぐにゃ…と歪んだ。
「っ…」