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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第40章 わたしの恋人は




それから数ヶ月後
ようやくコラボのリリース日がやって来た。

今日は、そのリリースイベントを都内某所で行うことになっている。
藤さんとの仕事はこのイベントと、あとは明日の歌番組の生放送。

それが終われば今のところ決まっている仕事はない。

つまり、ようやく藤さんとの交際疑惑も、再来週ぐらいには晴れて否定できるということだ。

とは言え、今日はリリース日。
リリースイベント中は、まだ否定することはできない。


「はあ…」


朝ごはんのオートミールの前でため息を付いたわたしを、零が不思議そうな顔で見た。


「どうしたの?美味しくなかった?」

「ううん。いつも自分で作るオートミールよりも断然美味しいよ?
…今日のリリースイベント、メディアや記者もたくさん来るんだって。
きっと藤さんとのことたくさん聞かれるんだろうなと思って。」


そう。
あの記事が出てから公に登場する機会は初めてで、しかもそれが噂の相手 藤さんとの共演イベント。

芸能記者が見逃すはずはない。


「しばらくはノーコメントを貫くんだろ?」

「そうだけど…
正直、零以外の人と噂されてるのが結構キツい…」


零に申し訳ないし、自分自身の気持ち的にも好きな人以外の人と付き合ってると噂されるのは、辛かったりする。

そう言ってまたため息を吐くわたしの頬を、零が両手でむぎゅっと挟んだ。


「ふぇっ!?」

「リラが僕のことをどれだけ好きでいてくれているか、僕が1番知ってるよ」


そう言って、唇に軽くキスをくれた。


そしてゆっくり唇を離すと、頬をまだ寄せたままのわたしの顔を見て、零が笑う。


「ふっ…マヌケな顔」

「っ!れいがむぎゅってするからでしょ?!」

「可愛くて、好きだよ」


そんな、女の子が全員喜ぶようなことをサラッと言った零は、わたしの頭をぽんぽんと撫でて食べ終わった食器を片付けた。

こんなに優しい零を、安心させてあげたい。
零はわかってるよと言ってくれるけど、零がわたしを大切にしてくれているように、わたしも彼をもっと上手に愛したい。

そんな気持ちがこのところ、ずっと膨らんでる。

世界中の人に、この人が恋人なのって言ってまわりたいとすら思うんだから。




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